×
1956

つわりはホルモンバランスの変化が原因?つわりのピークはいつ?

妊娠中につらいことの一つがつわり。その原因として、ホルモンバランスの影響が挙げられます。この記事では、ホルモンとつわりの関係や、つわりの症状、対処法などについて詳しく解説します。

つわりはホルモンバランスの変化が原因?

つわりの原因は正確にはわかっていません。精神的なものが原因という考えもありますが、代表的な説は「ホルモンバランスの変化」です。妊娠するとホルモンの分泌が大きく変わり、これがつわりの原因だと考えられているのです。

まずは、どのようなホルモンによってどのような症状につながるのかを見ていきましょう。

プロゲステロン・エストロゲンの増加

妊娠すると、プロゲステロン、エストロゲンといった女性ホルモンの分泌が増えます。プロゲステロンは妊娠の維持に必要なホルモンですが、その一環として食欲増加につながることがあります。さらに、プロゲステロンの分泌が増えると腸の動きに影響し、ガスがたまったり、便秘につながったりすることもあります。ガスがたまりお腹が張ると吐き気や嘔吐の原因になることもあります。

また、妊娠後期にはプロゲステロンの分泌がさらに増え、強い眠気や便秘の悩みが生じることもあります。

なお、エストロゲンの増加も吐き気や嘔吐の原因と言われています。

hCGの増加

hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)は着床後に分泌されるホルモンであり、妊娠8~12週頃に分泌量がピークとなります。hCGは嗅覚の変化などのつわりの原因になると言われています。
また、hCGによってエストロゲンやプロゲステロンの分泌が促進されます。

ホルモンによる嘔吐中枢への刺激

ここまでに紹介したプロゲステロン、エストロゲン、hCGは、いずれも吐き気や嘔吐の原因となると考えられています。そのメカニズムは、これらのホルモンが嘔吐中枢を刺激して生じるとされています。

一般的なつわりの症状とは?

ここでは一般的なつわりの症状についておさらいしておきましょう。

代表的なつわりの症状には以下のようなものがあります。

  • 吐き気
  • 嘔吐
  • 嗅覚が敏感になる
  • 食欲不振
  • 唾液が多くなる
  • 眠くなる
  • イライラする
  • 頭が痛くなる
  • 疲労感

など

吐き気や嘔吐の出方は、空腹時に吐き気が強い、食べると吐いてしまう、水を飲んだだけでも吐いてしまうなど人によってさまざまです。逆に食べづわりと言って、口の中に食べ物が入っていないと吐き気がするという方もいます。

また、嗅覚が敏感になり、ご飯が炊ける匂いがダメになるなど、特定の匂いが受け付けられなくなってしまう方もいます。

他にも、食欲がなくなったり、唾液の分泌が増えて常に口の中が不快な感じになったり、強い眠気、イライラ、頭痛、疲労感などさまざまな症状が現れることがあります。

つわりのピークはいつ?

つわりは早ければ妊娠4週目くらいには現れることがあります。ピークはhcGの分泌がピークとなる8~10週目頃。その後15週目頃には落ち着くことが一般的ですが、人によっては長期間つわりに悩まされることもあります。

なお、28週以降に吐き気、胃もたれ、胸やけといった後期つわりが起こることもあります。

つわりがある時の過ごし方・対処法

つわりを自力で予防・解消することは難しいですが、少しでも楽に、健康的に過ごせるように、以下のような点に注意しましょう。

水分補給をしっかりする

吐きづわりがある場合は脱水や脱水による血栓症(血管内に血の塊ができる)につながることがあります。そのため、しっかりと水分補給しましょう。嘔吐がひどい時にはスポーツドリンクなども利用してみてください。

妊娠5ヵ月以前は無理して食べなくてもいい

つわりで食べられないと、赤ちゃんに栄養がいかないのではないかと不安になる方もいるでしょう。しかし、赤ちゃんがお母さんの体から栄養をもらうようになるのは胎盤が完成してから。妊娠5ヶ月(16週)頃からであるため、それまでは無理して食べる必要はありません。

特定のものしか食べられないという方も多いと思いますが、その場合は食べられるものを食べられる分だけ食べれば問題ないでしょう。

バランスより食べられるものを摂りましょう

つわりがひどい時は食事の量やバランスよりも、まず食べられるものを食べられるだけ食べれば大丈夫です。少し落ち着いてきたら栄養バランスも考えるとホルモンバランスがある程度整い、つわり改善につながることがあります。

また、1度にたくさん食べるのではなく、少量でいいので食べられる分を口に入れ、こまめに何度も食事をとるのも一つの方法です。この方法は、食べづわりによる食べすぎ予防にも効果が期待できます。

適度に気分転換をする

運動不足はつわり悪化の原因にもなります。そのため、体が動かせそうな場合は適度に外に出て気分転換するのがおすすめです。仕事に行くと悪阻が軽くなる、自宅に帰ると悪阻の症状が出る事もありますね。

この時期は旅行などの気分転換はできませんが、散歩やストレッチなどの軽い運動や好きな飲み物などでリフレッシュしていきましょう。

ストレスをためない

ストレスもつわり悪化の原因になることがあります。妊娠中はつわりや体の変化、仕事や赤ちゃんのことなど心配がたくさんあり、ストレスになってしまう方もいると思います。そんな中でもできるだけリラックスし、ストレスをためないように気をつけましょう。

家族やパートナーに頼るなどして、少しでも負担の少ない妊婦生活を送ってください

医師に相談する

つわりが重症化すると「妊娠悪阻」と呼ばれる状態になることがあります。これは、たびたびの嘔吐や過度な食欲不振によって、脱水症状や栄養代謝障害が生じる状態を指します。

そのため、「つわりくらいで」と思わずに、症状がひどい場合は医師に相談してください。

食事や水分がとれない、1日に3回以上嘔吐してしまう、妊娠前よりも体重が5%以上減っているなど、日常生活に支障が出ていたり、症状が強い場合は点滴をするなどの医療処置が必要になる事もありますので早めの受診が必要です。

つわりがひどいと入院になることも!辛い時は早めに相談を

つわりの原因はホルモンバランスのほか、精神的なもの、胎児を異物とみなして起こっているなどさまざまな説があります。

いずれにしてもつわりは日常生活にも支障をきたすものなので、食事や生活習慣に気をつけながら、上手に付き合いたいものです。

また、つわりはみんな経験することだから…と我慢する必要はありません。症状には個人差があり、人によっては入院が必要になるほどひどくなることもあります。症状がひどい場合は早めに医師に相談しましょう。

1890

この記事の監修者

浅井 貴子

・助産師

・新生児訪問指導歴は25年以上

・各情報サイトやランキングサイトなどでも執筆多数