妊娠すると、体内ではホルモンの分泌に大きな変化が現れます。この記事では、妊娠初期のホルモンバランスの変化を詳しく解説。それによる体の変化や症状についても説明します。
妊娠初期のホルモンバランスの変化
妊娠初期には、体内のホルモン分泌の状況が妊娠前とは一変します。まず、妊娠5~6週頃からは胎盤の組織から「ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)」が産生され始めます。このホルモンは妊娠した時にしか分泌されないホルモンです。
さらに、妊娠の維持・出産や授乳の準備などのために、女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンの分泌も増加し、その分泌量は普段とは比べ物にならないほど多いのです。なお、hCGには女性ホルモンの分泌を促進する役割があります。
ホルモンバランスの変化によって体に現れる症状とは?
hCGの分泌や女性ホルモンの増加によって、体にはさまざまな変化が起こります。たいていは妊娠4~5週頃から体調の変化を自覚し始めますが、早ければ妊娠3週頃に体調の変化を感じることもあります。
また、症状が最も辛いのは妊娠7~8週頃と言われ、11週頃から楽になることが多いです。
では、妊娠初期には、ホルモンの影響でどのような症状があるのか見ていきましょう。
つわりが現れる
ホルモン分泌の変化によってつわりの症状が現れることがあります。たとえばhCGの増加はつわりの原因となり、今までは気にならなかったにおいや味がダメになる、といった症状が生じることがあります。
また、女性ホルモンのエストロゲンの増加は吐き気、嘔吐の原因になるとされています。
短時間の立ちくらみが起こりやすい
立ちくらみが起こることもあります。目の前が急に真っ暗になり、平衡感覚が失われる感じです。起立性低血圧の様な症状が出ます。
症状自体は短時間でおさまるものの、倒れてしまって怪我をしたり、赤ちゃんに影響があったりしては大変。異変を感じたらすぐに座るか横になるかしましょう。
生理前のような症状を強く感じる
生理前のような症状を強く感じることもあります。具体的には、朝眠くて起きられない、どんよりとだるい感じがして疲れやすい、便が硬くなって便秘になりやすい、胸の張りや痛みなどの症状が挙げられます。
便秘はプロゲステロンの増加によって、腸の動きに影響があることが原因。胸の張りや痛みは、エストロゲンとプロゲステロン両方の増加が原因だとされています。
疲労感がたまりやすい
生理前と似たような症状が現れることがあるとして、前項で疲れやすさにも触れましたが、それ以外の原因で疲労を感じることもあります。それが、甲状腺ホルモンの異常です。
hCGは、甲状腺ホルモンの分泌を促進します。そのため、妊娠初期は甲状腺ホルモンが増加し、逆に、甲状腺刺激ホルモンは減少します。このようなことがきっかけで甲状腺ホルモンのバランスが崩れると、疲労感などの不調を感じることがあります。
甲状腺ホルモンが過剰になっても不足しても、疲労感の原因となります。甲状腺ホルモンが過剰な場合は、他にも、動悸、脈が速くなる、手の震え、暑がりになる、食欲があるのに痩せる、イライラするなど、さまざまな症状が現れることがあります。
逆に、甲状腺ホルモンが不足すると、声のかすれ、便秘、皮膚の乾燥、顔のむくみ、寒がりになる、体重が増えるなどの症状が現れることがあります。
おりものが変化する
妊娠初期のおりものは、粘り気がなく、さらっとして、量が増えるのが特徴です。一方で、人によっては白くにごったり、どろっとした白い塊が出たりすることもあるなど、個人差も大きいです。
また、着床出血が起こり、血が混じっておりものが茶色やピンクになることもあります。
妊娠初期のホルモンバランスの変化は誰にでも起こりうること!
妊娠すると、ホルモン分泌を含め、体にはさまざまな変化が起きます。妊娠初期にホルモンバランスが変化するのは当然のことであり、妊娠を継続するためには不可欠なことです。しかし、それに伴い不調が出ることもあります。
場合によっては甲状腺機能のトラブルなどが起きている可能性もあるため、日常生活に支障が出るような場合は、早めに担当医に相談しましょう。