子宮は筋肉でできていて、リラックスしているときはやわらかくゆるんでいます。しかし、体を動かしたり、何らかの刺激によって、筋肉が緊張して、硬くなることがあります。これを医学用語で子宮収縮といい、一般的には「おなかの張り」と言われています。しかし、その感覚がピンとこない方も多いはず。この記事では、妊娠中の「お腹の張り」の症状や原因についてお伝えします。
一言でおなかの張りといっても、張ったときの感じ方はさまざまです。
妊娠初期では、「中で風船がパンパンに膨らんでいるよう」「下腹部が重い」「便秘のようにかたい」、妊娠中期では、「子宮が硬くなっている感じ」「バレーボールのような硬さ」、後期になると、「カチカチ」「張りさけそう」「石のように硬い」という表現をされる方がいらっしゃいます。
妊娠後期ではお腹が大きくなると、赤ちゃんの位置が下がってくること、腰や下腹部に負担がかかることからお腹の張りとして感じます。しかし、お母さんが動きすぎたり、ずっと立ち仕事などをしていると、子宮が収縮して「お腹の張り」を感じます。実は、気をつけなければならないのはこちらの張りなのです。昼間に動きすぎると、夕方から夜にかけて「張り」を感じてくる方がいますが、その状態を放置して長く続くと、赤ちゃんが下がってきてまだ出産時期でもないのにお産向かって子宮の出口が短くなったり開いてきてしまうことがあるのです。これは切迫早産と言って、早めに対応しないと、未熟児で生まれてしまうこともあります。
冷え
体が冷えるとお腹が張ることがあります。室内の温度調節をしたり、上着やブランケットなどで足やお腹を温めましょう。
疲労、ストレス
疲れやストレスが原因でお腹は張りやすくなります。仕事、家事、運動、育児などで疲れを感じたときには、家族などの協力を得て、無理をせずに休むことも必要です。ストレスがたまっていると感じたときには、意識して休んだり気分転換をしてみてください。体に良くないと思って、我慢をしすぎることもストレスに繋がります。そんな時は栄養豊富なツバメの巣の美容ゼリーなど、美味しくて、体にも良い間食がおすすめです。
お腹の締め付け
腹帯やサイズの合わない服を着ていると知らないうちにお腹を締め付けてしまっていることがあります。どんな感じの強さが一番調子がよいか、腹帯を調整する必要があるかもしれません。またマタニティ用のゆったりした服に着替えたりすることでも張りを軽減できることがあります。
便秘、ガス、尿
妊娠すると便秘がちになりますが、便秘はお腹の張りを引き起こすことがあります。またガスでお腹がパンパンになったり、尿がたまってもお腹の張りを感じることがあります。妊娠中は頻尿になりがちですが、排尿後にお腹の張りを感じることもあるようです。
乳首マッサージ
乳首への刺激は子宮収縮を促すホルモンを分泌します。もし乳頭マッサージで強いお腹の張りを感じた場合は、一時マッサージを中断し、少し時間の間隔を開けてから再開しましょう。
胎動
お腹の中の赤ちゃんが大きくなってくると動きによる刺激でお腹が張ることがあります。また胎動をお腹の張りと感じることもあります。
双子
双子はリスクが高い妊娠であり、お腹の大きさも異なります。双子妊娠はお腹が急激に大きくなるため、お腹が張りやすくなります。
性行為
妊婦健診にて問題がなければ通常、性行為は可能です。性行為中にお腹の張りを感じることがあるかと思います。もし張りを感じたら、ゆったりと過ごすようにしましょう。
子宮筋腫
子宮筋腫合併妊娠ではお腹が張りやすくなると言われています。妊娠により筋腫は大きくなり痛みが出てくる場合もあります。
普段よりお腹が張る頻度が多いとき、休んでも張りが良くならないとき、一定の間隔で何度も張ったりするときには、何らかの異常が発生している可能性があります。生理的なものか病気が原因のものかどうか、判断に迷うことがあるかもしれません。少しでも違和感を感じたり、判断に迷った際には主治医に連絡し、受診などの指示を仰ぎましょう。
監修:産婦人科医 宗田聡先生
筑波大学卒業後、同大学へ産婦人科医師として勤務。その後、海外の大学への派遣や、周産期センター長を経て、現在は医療法人HiROO理事長・広尾レディース~恵比寿本院~の院長を務める。「誰にでもいいお産を味わってもらいたい」という思いで、妊婦さんや出産をはじめ女性医療と真摯に向き合っている。