産後は、体や生活環境の変化によって免疫力が低下しやすいと言われています。では、免疫力の低下はいつまで続くのか、その原因は何なのか、そして、免疫力を高めるにはどうしたらいいのかなどが気になりますよね。それらについて、詳しく解説していきます。
産後の免疫力低下はいつまで?
産後は、体力低下や、育児による睡眠不足といった生活環境の変化などが原因で、免疫力が低下するとされています。期間としては、産後3ヶ月程度はこの状況が続くと言われています。
ただ、出産から1年以上経っても、風邪などをひきやすいと感じているお母さんも多いようです。
免疫力がまだ発達していない2歳以下の子供が風邪を引く回数は、大人の3~4倍と言われており、保育園に通うなど集団生活をしている場合はさらに2倍になるとも言われています。子供が病気(感染症)になる回数が多ければ、看病する親がうつされる確率も高まります。そのため、お子さんが3歳くらいになるまでは、お母さんも感染症にかかりやすい状況にあると言えます。
免疫力を上げるための方法
日常生活の中でのちょっとした心がけ次第で、産後の免疫力を上げられる可能性があります。運動、食事、生活の仕方などについて詳しく見ていきましょう。
体を動かす
運動するとストレス解消につながり、自律神経が整うため、免疫力の維持・向上効果が期待できます。また、ある研究では、適度な運動がIgAという抗体を増やすという結果も出ています。IgAは体内に侵入した細菌やウイルスを無力化し、免疫機能において重要な役割を果たしています。
そのため、免疫力を高めるには、体を動かすことを習慣づけることが大事です。厚生労働省が発表している「健康づくりのための身体活動基準2013」によると、1日60分間、散歩などで体を動かすことと、さらに30分以上の少し息がはずむくらいの運動を週2回以上行うことが推奨されています。最初は1日に10分程度のストレッチや散歩などでもいいので、少しでも体を動かすことを意識しましょう。
なお、激しい運動はかえって免疫力の低下につながるというデータもあります。アスリートレベルの過度な運動は、産後の体にとってもよくないので、リフレッシュを兼ねた適度な運動を心がけることが大事です。
食事を改善する
免疫力の維持のためには食事もとても大事。特にタンパク質、ビタミン、ミネラルをしっかり摂取しましょう。脂質や糖質を摂りすぎている自覚がある方は、できるだけ和食を選ぶようにしましょう。洋食に比べて栄養のバランスがよくなります。
また、免疫力の維持向上によい食材として、最近ではツバメの巣が注目されています。中華料理では高級食材として知られていますが、免疫機能において重要な役割を果たすシアル酸という成分を含んでおり、免疫力アップに効果が期待できます。中国では、ツバメの巣は産後ケアの定番食材となっています。
笑顔を意識する
よく笑うと、免疫をつかさどるNK細胞という細胞が活性化され、免疫力が高まるとされています。作り笑いでも効果が期待できるため、笑顔を意識して生活しましょう。
息抜きする時間を作る
ストレスは自律神経の乱れの原因となり、免疫力低下につながります。そのため、免疫力を高めるには、ストレスをためず、リラックスすることが大事です。
産後は体調がままならない中で赤ちゃんのお世話に追われるため、ストレスフルな日々を過ごしている方が多いと思いますが、可能な限り息抜きする時間を作りましょう。
家族や行政などのサポートに頼り、たまには育児から離れて自分だけの時間を作ってみてください。
体を温める
体温が上がると免疫細胞が増えて活発になり、免疫力アップにつながると言われています。体が温まると、血行がよくなりリラックスにもつながるため、ストレス解消効果も期待できます。
体を温めたいときは、ぬるめのお風呂にゆっくりつかるのがおすすめ。温度は40℃くらいにし、10分以上浴槽につかりましょう。
また、ショウガなどの体を温める食べ物を積極的に取り入れるのもおすすめです。
産後に免疫力が低下する原因とは?
妊娠中は、赤ちゃんを異物とみなして攻撃してしまわないように、お母さんの免疫力が低下します。出産が終わっても、妊娠~出産による体力低下、出産後の環境変化などによって免疫力が低下した状態は続くとされています。
ここでは、産後の免疫力低下の原因について詳しく見ていきましょう。
出産による貧血
出産時は誰しも少なからず出血があるため、貧血になりやすいです。さらに、母乳は血液から作られるため、母乳育児をしている方も貧血のリスクがあります。
免疫細胞は血液などに存在するため、貧血になると、免疫細胞も体中に行きわたりにくくなってしまいます。以上のような理由で、貧血によって免疫力が低下することがあるのです。
育児による身体の疲れ
産後は赤ちゃんのお世話で心身共に疲れています。疲れやストレスが蓄積されると免疫力低下につながります。
睡眠不足
産後は頻回授乳で睡眠不足という方がほとんどです。睡眠不足も自律神経の乱れの原因となり、免疫力低下につながります。
このように、産後は育児などで忙しく、免疫力が低下しやすい状態にあると言えます。
産後の免疫力低下を防いで風邪などを引かないように気を付けて
妊娠期間中からお母さんの免疫力は低下しており、産後も、出産時の出血、体力低下、授乳による貧血、育児による疲れ、睡眠不足などによって免疫力が低下しやすい状態が続いています。産後3ヶ月程度は免疫力が低い状態が続くとされているため、注意しましょう。
免疫力を高めるためには、適度な運動、適切な食事、笑顔を意識する、息抜きの時間をつくる、体を温めるといった心がけが大事です。できることから取り組んで、免疫力アップにつなげましょう。