産後は、妊娠中に分泌が増えたホルモンが一気に減少し、気分の落ち込みやイライラ、抜け毛、肌荒れなど、さまざまな症状が現れることがあります。
この記事では、産後のホルモンバランスを整える方法と、産後にありがちな病気や症状について詳しく解説します。
産後のホルモンバランスを整える方法
産後のホルモンバランスを整えるためには、食事や運動、睡眠など、生活習慣を整えることがとても大事です。それぞれについて詳しく見ていきましょう。
ホルモンバランスを整える食べ物をとる
ホルモンバランスを整えたいときは、まずバランスのよい食事を心がけることが大事です。以下のような食べ物をまんべんなく、そしてなるべく多くの種類を取り入れましょう。
- 動物性タンパク質:魚(特に青魚)、肉、乳製品、卵
- 植物性たんぱく質:大豆製品
- 食物繊維:野菜、イモ類、海藻類、キノコ類
- ゴマ・ナッツ類
など
また、極端に痩せている、または太っている状態はホルモンバランスの乱れの原因となるため、カロリー摂取量は適量を心がけましょう。
ホルモンバランスを整えるサプリをとる
産後は赤ちゃんのお世話で忙しく、自分の食事がおろそかになってしまうというお母さんも多いでしょう。そのような場合は、栄養補助としてサプリメントを使うのも一つの方法です。
また、特にホルモンバランスを整えるとして、大豆イソフラボンやエクオールを配合したサプリも市販されています。
大豆イソフラボンは女性ホルモンに似た働きをするため、減少した女性ホルモンを補ってくれることが期待されます。大豆イソフラボンは体内で腸内細菌の代謝により、エクオールに変化して吸収されると考えられています。中には大豆イソフラボンからエクオールが産生できない方もおり、その場合は大豆イソフラボンを摂るよりも、直接エクオールを摂ったほうが良いと考えられます。
息抜きの時間を作る
ストレス解消も、ホルモンバランスを整えるためにはとても大切。忙しい中でも息抜きの時間を作りましょう。自分なりのストレス解消法がある方は、積極的に取り組んでみてください。
家族や行政のサポートにも頼って、たまには育児から離れる時間をつくってみてもよいですね。
適度な運動と睡眠をとる
運動不足や睡眠不足は、ホルモンバランスの乱れをより悪化させる原因となります。適度な運動、十分な睡眠をとりましょう。
まず、運動は自律神経を活発にし、ホルモンバランスを整える効果が期待できます。さらに、ストレス解消にもつながるため一石二鳥です。ただ、産後は体も本調子ではないため、ヨガなどの簡単なものから取り組みましょう。実施の際には担当医に相談すると安心です。
また、まとまった睡眠がとれない方がほとんどだと思いますが、長時間の睡眠がとれない分、質の高い睡眠がとれるように努めましょう。寝る前にスマホやパソコンを見るのは避けてください。
産後のホルモンバランスの乱れによる症状とは?
産後はホルモンバランスの乱れによって、産後うつなどの精神的な症状が現れたり、抜け毛、肌荒れなどに悩んだりすることがあります。それらの症状について詳しく見ていきましょう。
産後うつなどの精神的な症状
産後のホルモンバランスの変化によって自律神経に影響が及んだり、環境が変化したりすることで、マタニティーブルーになることがあります。
マタニティーブルーの症状は多岐にわたり、気分が落ち込んだり、不安になったり、イライラしたりするといった精神的な症状の他、不眠、倦怠感、動悸、息切れ、頭痛などの体の症状が現れることもあります。
よく言われる「ガルガル期」は、イライラしたり攻撃的な態度をとってしまったりする時期ですが、これもマタニティーブルーの一種だと言われています。
マタニティーブルーは出産から数日ほどの期間に生じ、短期間でおさまることがほとんどです。しかし、寝不足や不安が積み重なるとそこから産後うつになることもあるため、注意が必要です。子育ては思い通りに行かない事が多いもの、緊張している時は深呼吸をする、お気に入りのアロマなどを嗅いだりして自分のリラックス方法を見つけましょう。
抜け毛
女性ホルモンのエストロゲンは、毛周期における成長期(髪が成長する時期)を延長する働きがあるとされています。そのため、妊娠中は髪が抜けづらくなります。
しかし、産後にエストロゲンの分泌が一気に減ると、それまで抜けなかった髪が一気に抜け、抜け毛が気になるようになります。
また、産後はストレスや栄養不足も起こりがちで、これによっても抜け毛に拍車がかかります。
肌荒れ
エストロゲンは、肌のみずみずしさを維持する役割も担っています。そのため、産後にエストロゲンが減少し、乾燥や肌荒れなどの症状につながることがあります。
また、産後のホルモンバランスの乱れは、シミや肝斑の原因にもなります。
骨粗鬆症
女性ホルモンには、骨からカルシウムが溶け出すのを防ぐ働きもあります。そのため、産後のホルモンバランスの変化によって骨がもろくなり、骨粗鬆症になる可能性が。
また、赤ちゃんの骨を作るために、妊娠中にお母さんの骨から赤ちゃんにカルシウムが移動することや、授乳によってカルシウムが失われること、産後は栄養不足になりがちであることも、骨粗鬆症の原因となっています。予防のためには、カルシウムを積極的に摂り、栄養バランスのよい食事を心がけることが大事です。
産後はホルモンバランスが乱れやすいのでご注意を!
産後はホルモンバランスが大きく乱れ、さまざまな症状が現れることがあります。マタニティーブルーのように短期間で回復する場合もありますが、ひどくなると産後うつになるようなケースもあります。
ほかにも、抜け毛や肌荒れ、骨粗鬆症など、美容や健康にさまざまな影響が生じるため、注意しましょう。
ホルモンバランスを整えるには、生活習慣を意識することがとても大事。食事、運動、睡眠などで取り組めることがあれば、どんどん対策してみてください。